Night and day

5月の朝日の講座の課題曲は「Night and day」です。
言わずと知れたコール・ポーターのナンバーです。「昼も夜も」ってストーカー?と今ならば言われてしまうかもしれませんが、昔はこういう物言いがロマンチックとして成立したんですよねえ。
1932年のフレッド・アステア、クレイア・ルース主演のミュージカル「Gay Divorce」で主演のフレッド・アステアが歌い、ヒットを飛ばしています。
ポーターはミュージカルの曲を作るとき、いわゆる「あて書き」をする人で、この曲もアステアの歌いやすいキーにあわせて作られたのが、同じ音を繰り返すあの特徴的なヴァースのメロディなんだとか。

この曲の着想を得たのは、モロッコのモスクであったとポーターが語っているそうですが、まああの人の場合、話半分に聞いておいた方がいいかもしれません。
ポーターの伝記映画「Night and day」でこの曲がタイトルチューンに使われています。それから2004年のまだ記憶に新しいMGM映画「五線譜のラブレター」(こちらも伝記映画)で、主役のケビン・クラインとジョン・バロウマンが歌っていました。この映画の劇中ではほかにシェリル・クロウとかアラニス・モリセットとかがポーターソングを歌っていたのが印象的でした。(シェリルクロウはビギンザビギンをマイナーにして歌ってましたよね。おもしろいアレンジでした)

実に多くのカバーが存在する曲ですが、一番多く録音しているのはやはりシナトラでしょう。42年にトミー・ドーシー・バンドと共に初めて録音したのを皮切りに、おしゃべり入りや南国風のアレンジなど様々なヴァージョンがあるそうです。
いまはシナトラみたいなバラードで歌う人はあんまりいないですよね。4ビートかボサノヴァのイメージです。ただ普通にコーラスの部分からはじめちゃうとただかっこいいorおしゃれ曲で終わってしまいがちなので、変化をつけるためにヴァースから歌う人も多いですよね。個人的にはエラの「コールポーターソングブック」の野蛮ともスリリングともいえるあのヴァースのはじまり方が異常に好きで、ときどき ヴァースだけをはげしくリピートして聴いてへんにトリップ(笑)してます。「ゴジラかよ!」とつっこみをいれたくなるあのバックの緊迫感がたまりません。歌詞の通り、ジャングルの中からエラが顔を出したらそりゃあ迫力あるよなあ(失礼)と妄想してしまいます。今回は訳詞もそんなスリラーな感じを意識して訳してみました。どうでしょうか(笑)

おしゃれ系ならだいぶ昔になりますがEBTGのデビューシングル。トレーシー・ソーンがソロになってからのアルバムでもカバーしてましたよね。このアルバム好きだったなあ。ひところしつこく聴いてました。


●ヴォーカルもののおすすめ盤
Fred Astaire / The Astaire Story
Ella Fitzgerald Sings The Cole Porter Songbook
Anita O’day / Anita O’day Sings Cole Porter with Billy May
このアニタがブランコにのってるジャケットが好き。

Billie Holiday / LADY DAY
Lena Horne/ Lena goes Latin and Sings Your Requests
Tony Bennet/ Perfectly Frank

訳詞
昼も夜も

ジャングルに夜の影が落ちるときの
タムタムの響きのように
壁の古めかしい大時計が
チクタク時を刻むように

夏のにわか雨が通りすぎたあとの
雨粒がポタポタと落ちるように
繰り返し呼ぶ声が胸の内で鳴り響く
あなた あなた あなたと

夜も昼も、あなたのことばかり考える
月の下でも陽のもとでも
側にいようが離れていようが
どこにいようと
夜も昼も 君を想う

なぜだろう
昼も夜もどこへいっても
あなたを求める気持ちから逃れられない
往来の喧噪のなかでも
一人きりの部屋の中でも
頭を離れない君のこと
夜も昼も

秘めた心の奥底でも
あなたを焦がれる想いが燃えさかる
この地獄は終わりそうにない
あなたを想い続ける限り
昼も夜も、夜も昼も


U2のカバーもおそろしげですばらしい。わたしもこういうちょっと不気味風味でやってみたいなあ。




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