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スタンダードよもやま話

Begin the Beguine

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Palm Tree Night / K.Hurley

ある一定以上の年齢の人にとってはフリオ・イグレシアスね、といわれるこの曲ですが、もともとはコール・ポーター作のスタンダードナンバー。テーマが長い。長過ぎる。ポーター自身も「曲全体が覚えられないので、この曲は楽譜がないと演奏しない」と言っているほど(笑)

歌詞はこちら via lyrics.com

訳詞とうんちくは以下に

1935年ニューヨークのインペリアル・シアターで上演されたミュージカル「ジュビリー」の中で使用された曲。ポーターはパリのリッツホテルのバーのピアノでこの曲を作曲したといわれています。

ビギンはフランス領マルティニークのダンス音楽。現地のクレオール語で「Beke」または「Beque」は白人のことを指しますが、「Beguine」はそれの女性形で、ラテンとフランスのダンス音楽の形式を融合させたもの。現在はラテンのリズムパターンとして知られています。

ミュージカルで発表された当初はあまり人気が出なかったそうですが、1938年アーティー・ショーの録音が大ヒット。彼の楽団の代表作となったばかりでなく、この曲が広く知られるスタンダードとなるきっかけになりました。

一般的なスタンダードの32小節(8小節×4)の構成と違い、この曲は実に108小節もの長さで構成されています。それぞれのセクションが16小節と通常の8小節の倍の構成、最後のセクションはさらにそれに12小節を加え、28小節の長さでフィナーレ的な演出をしています。これだけの長さでメロディやハーモニー的整合性を維持していてポーターのソングライターとしての才能のすごさを感じますが。

多くのカバーがあり、ラテンの演奏者やシンガーにも好まれる曲です。さまざまな映画やCMでも使われてます。これまで2回制作されたコール・ポーターの自伝的映画でも代表作として紹介されてますよね。
一回めの「Night and Day(夜も昼も)」ではラテンシンガー、カルロス・ラミレスが、二回めの「De-Lovely(五線譜のラブレター)」ではシェリル・クロウが全編マイナーというアレンジのおもしろカバー。そのほか1940年のMGM映画「Broadway Melody of 1940(ブロードウェイメロディー)」では天才タップダンサーコンビ、エレノア・パウエルとフレッド・アステアの2人が名人芸を披露しています。(70年代に公開された「ザッツ・エンタテイメント」でもこのダンスを見ることができます)

訳詞
ビギンの演奏とともに
やさしい音楽の記憶がよみがえる
かがやきに満ちた南国の夜
色あせない記憶が戻ってくる

星の下、また君と一緒にいる
浜辺ではオーケストラが奏でる
音楽とともに椰子の木も風に吹かれ揺れている
あのビギンの演奏とともに

あの日にはもう戻れない
ただあの調べは私の心をつかみ
あのとき、二人が一緒にいて愛を誓い合い
離れないと約束したことを思い出させる

あの神聖なひととき わき上がる喜び
でも暗雲がたちこめ
喜びを吹き散らしてしまった
だからチャンスを逃して嘆いている人の気持ちが
いまは痛いほど分かるんだ

だからもうビギンは演奏しないで
あのとき燃えた炎は
残り火のまま
欲望の亡骸はそのまま眠らせて
ビギンが聞こえてくると思い出してしまうから

いややっぱりビギンが聴きたいんだ
演奏してほしい
あの星たちがまた君の上に輝くまで
君がまた僕に「愛してる」とささやくまで
そして僕らは突然知るんだ
天国のような場所にいたことを
あのビギンの調べの中で


映画で初見のときは一瞬なんの曲かわからんかったですよ。
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